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みどりの通信 2024年10月号 虫見病/宇宙人野菜

虫見病

 9月の畑。それは蛾の楽園。

 あっちでこっちで蛾の卵塊がはじけ、植えたばかりのキャベツやブロッコリーなどの苗をむしゃむしゃと食べつくしていきます。8月末からの1カ月半で向こう5カ月分の秋冬野菜の種まきや苗の植えつけをしつつ、苗が無事に育つために、この害虫たちを探して見つけて捕殺する、という作業(通称・虫見《むしみ》)をしています。昨年に引き続き、暑さとともに虫の増加は右肩上がり(*1)で、しかし手は2人合わせても4つしかないということで、多勢に無勢。友亮、照手ともに以下のような症状が出てきています。

 

・症状1…虫見のしすぎで毎晩夢に虫がたくさん出てくる

・症状2…虫見中、虫のフンが葉っぱについているのに虫を見つけられず、冷や汗が出てくる

・症状3…子どもに「はらぺこあおむし」の絵本を読み聞かせているうち、どんどん不安になってくる

・症状4…レースのカーテンを見ていると震えてくる(レース状の食べあとを残すコナガを想起)

・症状5…端境期で採れる野菜の種類が減り、セットが組めなくなるのではと心配で夜眠れなくなる

 

 ほかにも虫見のし過ぎによる肩こり、腰痛、気うつなどの症状が出ており、この1カ月ですっかり虫見病です。無農薬でやっている我々にはつける薬などなく、どこかで諦めと何かしらの方向転換(*2)を迫られているような気もします。

 そんなこんなで、このところの野菜セットには、入れようと思っていたキャベツやカリフラワーが入れられず、土の中で育つラッカセイや里芋、さつまいもであったり、この時期恒例のにんじんや大根の間引き菜に、保存しておいた切り干し大根、庭の栗にも召集をかけてしのいでいます。どれも調理にちょっと手がかかるということで、お客さんにはご不便おかけしているかもしれません。

 土の中で控えている大根、にんじん、かぶなどが充実してくるまでの辛抱となるでしょうか。毎回窮状の報告ばかりで心苦しいのですが、また言っているな~と横目で見つつ、なんとなく畑の様子を知ってもらえたら幸いです。(照手)

 

*1…虫と人、気温との相関関係は次の図の通り。「地球沸騰化」の時代にあって、農を営むことは今後益々大変になることが予想されます。

*2…来年は早めの作型のキャベツの栽培は諦めて、小松菜などの葉物野菜を増やそうかと思っています。また、9月はいつも以上に手が足りなくなるので、人を雇って出荷作業をしてもらい、その間虫見作業などの時間を増やそうかなどと思案中です。

 

 

宇宙人野菜

  キャベツやカリフラワーがヨトウムシに食い荒らされるなか、いつもより早めに育てたコールラビが、虫の被害をあまり受けずに収穫できました。

 葉っぱが少ないからでしょうか?

 皮が硬くて食べにくいからでしょうか?

 兎にも角にも、この端境期にとれる貴重なアブラナ科野菜です。

 先日、4歳の息子がコールラビを持って保育園に行ったところ、見慣れない形の野菜を見た園児たちの間で「宇宙人野菜が来た!」と、ちょっとした騒ぎに。機転を利かせた先生が小さく切り分け、塩をふってそのままみんなで食べたそうです。うちでは皮をむいてゆでてグリルが定番でしたが、そっか、生で食べてもいいのか!と教わったのでした。  (友亮)