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みどりの通信7月号 夏の入り口/甘露よりも甘いものは

夏の入り口

 長い長い夏の入り口に立ったところですが、6月の目まぐるしい気温の変化や高い湿度にやられたのか、下の子が発熱、その翌々週には上の子が発熱、治ったと思ったらまた下の子が高熱続き(突発性発疹か)…となかなか大変なことに。子が休んでいるあいだ片方は子守りとなり、ただでさえ慌ただしい時期に農作業が進まず、草に飲みこまれていく畑を見ては「あー」とか「うー」とかいっています。気持ちはどうしても焦りますが、やみくもに焦っても心も体もしんどくなるだけ。なのでいまは「できることしかできない」「できるときにできることを」と何度も何度も自分に言い聞かせる日々です。

 この時期は胃も疲れるのか食もなかなか進みません。困ったときの梅干しを引っ張り出してきて、ごはんに、おにぎりに、煮物に入れてと再々使って胃を元気づけています。先日、冷や汁(*)にも潰した梅肉を少し入れたところ味噌のコクと梅干しの酸味が好相性でした。あとは味噌汁。畑で採れるものをどさどさ入れて、一食に。モロヘイヤやツルムラサキなどの夏葉物を入れてもつるりと食べられておいしいです。畑のもので体をいたわりつつ、なんとかかんとか畑をまわして、無事に夏の出口にたどり着けますように。皆さんもどうぞご自愛ください。(照手)

 

*…冷や汁は地域によってさまざまなレシピがありますが、よくつくるのは材料が少ない本当に簡単なもの。いりごまをすり鉢などですって、そこに味噌と好みで砂糖少々を入れて混ぜ、にぼしのだし汁でのばす。ここに塩もみした輪切りきゅうりとしそを浮かべて汁が完成。これを冷やごはんにかけるか、うどんのつけつゆにして食べます。味噌汁より少し濃いめの味つけにするとよいです。

 

甘露よりも甘いものは

 4月下旬に植えるナスは、寒さよけのため不織布をかけます。中は外気よりも3~5℃暖かく、30℃が生育適温のナスにとっては絶好の環境です。5月下旬、気温が上がり、遅霜の心配もなくなってきた頃に不織布を開けたところ、なんだかナスに元気がありません。ウネにはたくさんのアリ。もしやと思って葉っぱの裏を見ると、いました、びっしり一面アブラムシ!

 アブラムシは葉の養分を吸う害虫です。吸われた葉は光合成能力が低下、最悪の場合、樹全体枯れる場合もあります。また、アブラムシはお尻から甘い排泄物(甘露)を出して、アリに食べさせるので、アリがたくさん寄ってきます。そうしてテントウムシなどの虫が、体が小さく足の遅いアブラムシを捕食しようとすると、アリが攻撃して守るのです(相利共生)。何とかせねばとアブラムシの多い葉を除去したり、手で潰したりしても、増殖は止まりません。

 困り果てていたときに冷蔵庫のドアポケットの底にあった賞味期限切れのメロンゼリーと目が合いました。ものは試し…とナスの株間にスプーンでちょっとずつすくって置いてみたところ、翌日、ゼリーのまわりが真っ黒になるくらいのアリの群れ! そしてアリがいないスキに、テントウムシの幼虫がアブラムシをもりもり食べていました。それから二週間ほど経つと多くのテントウムシたちが、葉を占拠するようになり、アブラムシの数が激減。葉っぱも元気を取り戻してきました。

 というわけで、今シーズンはナスの収穫開始が遅れますが、7月中旬からとれる予定です。(友亮)