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みどりの通信 2024年4月号 過酷な春/イモムシ生活

過酷な春

 今年は暖冬で、厳寒期にあたる2月に20℃を超える日もあり、例年より早い春の訪れを感じていました。が、そこから一転して3月は真冬に逆戻り。最低気温がマイナス3~5度になるような日が何日も続きました。風速10mにもなる激風も吹き荒れて、春野菜を被覆していたトンネルが吹き飛ばされたりもしました。 

 トンネル内でぬくぬく育っていたにんじん、大根、かぶ、カリフラワーなどは、低温や寒風に当たって葉っぱの一部が枯れ、光合成がうまくできなくなり、生育が停滞しています。また、3月上旬に植えたトウモロコシは、5日後の寒波で400本が全て枯れ、同じ日に植えていたズッキーニも半分枯れました。すぐに種をまき直しましたが、収量が落ちたり、収穫開始が遅れるのは必然です。2月下旬に植えてようやっと芽を出し始めていたジャガイモも全滅で、さすがに落ち込みました。

 就農して今年で6年目になりますが、今までになかった過酷な春です。4月のセット再開は例年のようにみずみずしい春大根やかぶを入れられなそうで心苦しいです。その代わり、間引き菜のにんじん葉や大根葉、菜花類が多めに入ったり、冬の間にストックしていた切り干し大根や唐辛子の調味料などを入れてやりくりする予定で、過酷な春の感じがそのまま伝わるセットとなりそうです。

 4月の下旬には、絹さやえんどうや春キャベツ、そら豆などがとれ始めると思います。いつもより春の訪れが遅れますが、気長にお待ちいただけると幸いです。(友亮)

 

イモムシ生活

 調子っぱずれな気候で、野菜だけでなく私たち人間も調子が狂ったということでしょうか。セットが休みになってすぐのタイミングでコロナ&インフルにかかり、一週間弱、家族一同イモムシのように丸まって過ごしていました。

 イモムシ人間となって日々やることといえば、お茶を飲み飲み、すこしのお粥に漬物、梅干しなどを摂取しては排泄することくらい。これだけでじゅうぶん生きられるのだということに改めて驚き、普段あまりにも多くの余計なものを内臓に取り込んでいたのだなと実感しました。入れるものが少ないと、これらがどんなふうにエネルギーに変わるのか、お腹のなかに想像を巡らせやすく、また、消化しやすいものを選んで取り入れることで普段あまり考えない自分の胃や腸が近くなるような。ほぼ寝たきりで、腸の様子をうかがいながら入れては出しするだけの存在。自分がただの管(まさにイモムシ)になったような感覚でした。

 そして、腸や腸内細菌のことを考えることは、土や微生物のことを考えることにも似て、どんな肥料や有機物を土に食わせて野菜を育てるかを考えるように、何をどれくらい自分の胃や腸に与えるとよいか考えるいい機会にもなりました(元気になるとまたあれやこれや不要なものを食べたくなって詰め込んでしまうのですが…)。

 そんなこんなで自然も自分の体もままならないことを痛感した春です。4月のセット再開から来年の3月まで、またぐるりと1年弱、どんな年になるでしょうか。イモムシ生活にも大いに気づきはありましたが、そろそろ脱皮して蝶のように気持ちよく羽ばたける日が来るといいなあ。 (照手)