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野菜の放射能検査について  ~「はかる」ではなく、「おしはかって」います~

 昨年6月から野菜セットの定期発送をしています。

 そのなかで、ある方から野菜の放射能検査をしているか、菜園みどりのの畑の土はどういう状況になっているか教えてほしいというご要望をいただきました。

 菜園みどりのとしては放射能検査をしていないのですが、原発事故のあと、近くで有機農業をしている先輩たちが土壌や野菜の検査をしていたので、そのときのデータをもとに、以下のようなお返事をさせていただきました(斜体部分がそのときお送りしたメールの引用です)。

 

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2011年秋に近所の有機農家の方が測った畑の土のセシウムは、130Bq/㎏だったそうです。

 

そうすると野菜はどれくらい汚染されているのか…。

野菜の放射能の測定も考えたのですが、検査をするには、1検体あたり8000~15000円ほどの費用を自己負担しなくてはならず、私たちのような、多品目少量生産のつくり手には、すべての野菜についてひとつひとつ「はかる」ことは現実的ではないと考えました。

 

ただ、近くの産地での測定結果から「おしはかる」ことができると思っています。

 

参考までに、畑の土壌から野菜への放射性物質の移行率を調べたのでお伝えします。

 

<福島県農業総合センター>

研究報告 放射性物質対策特集号(平成25年度)「野菜類における放射性セシウムの移行係数 」https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/254096.pdf

 

これによると、土野菜類が土壌から吸収する放射性セシウムは極めて少なく、移行係数もかなり小さい値でした。

 

移行率(植物体の放射性セシウム濃度/土壌の放射性セシウム濃度)は、最大例のサツマイモで0.0054。きゅうりや白菜、かぶなどは0.0001でした。

 

2011年秋の土壌のセシウムが130Bq/㎏だったので、当時の野菜の汚染は、1Bq以下であろう、と「おしはかる」ことができます。

 

また別の近所の有機農家の方が、卵の出荷先である「大地を守る会」で、2012年の6月にキャベツと小松菜の外葉(採卵鶏の緑エサとなる)を検査したら、両方とも1Bq以下の不検出だったということもありました。

 

原発事故から8年経って、以前測ったときよりも土壌の放射性物質の量はさらに減っていると思うので、野菜の汚染もさらに小さくなってはいるかと思います。

ただ、完全にゼロとは言えないですし、心配があれば、西日本の野菜を買って食べる方が安心かもしれません。

 

こちらでお伝えできる情報はこれくらいでした。もしやはり気になるようでしたらおっしゃってくださいね。

私たちも考える機会になってよかったです。どうもありがとうございました。

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 ありがたいことに、このメールを送った方には、その後も野菜セットを購入いただいています。

 ですが、これを読んでやっぱり不安だからここで野菜を買うのはやめておこう、という人がいても不思議ではないと思いますし、責められることではないです。

 9年前には、ここ埼玉の地でも、放射能の影響により、これまで続いていたお客さんとの関係が無くなってしまったという話をよく聞きました。福島第一原発から離れた場所であってもそうなのだから、近くに暮らしていた人たち、そこで生計を立てていた人たちへの影響は計り知れません。

 

 原発は、農家が大事にしてきたお客さんとの関係を簡単に壊してしまうものであるということ。

 そして農家自身が畑で作業をするなかで被爆する恐れがあること。

 9年経っても元に戻れない、壊されてしまったいくつもの暮らしがあること。

 それを記憶し、いち農家として、いち生活者として、原発という罪深い存在に対してはキッパリとNO!と言い続けていきたいと思います。(照手)